株式会社傳來工房
会社概要
- 事業内容
- 建築内外装、景観へのデザインアルミキャスト・ブロンズキャストの設計・製作・施工
- 設立年月
- 1948年11月
- 利用用途
- 商談、ミーティング
お話を伺った方
常務取締役 木村 努 様、営業主任 壇 信吾 様
取材日 2019年12月27日
平安時代からの歴史ある企業はいかにオンライン営業を導入したのか。京都のエクステリアメーカー、傳來工房(でんらいこうぼう)の導入事例
創業は平安時代初期、1200年の歴史がある京都のエクステリアメーカー、株式会社傳來工房。自社開発の製品ブランドである『Dea’s Garden(ディーズガーデン)』では表札やポスト、宅配ボックス、物置までの製品を開発し、北は北海道、南は鹿児島まで約400店舗の正規特約店と直接契約しているという。この事業のビジネスモデで、経営革新による特徴ある事業を立ち上げている起業を表彰する「オスカー賞」を、平成24年に地元の京都市から受賞した。
今回は株式会社傳來工房がなぜ「meet in」を導入したのか、そしてどのような成果をあげたのか、常務取締役 木村 努氏、営業主任 壇 信吾氏にお話を伺った。
エクステリア業界を開拓した傳來工房のブランド戦略
――『ディーズガーデン』の販売戦略について教えてください。
木村氏:一般的には、各エクステリアメーカーは問屋を通して小売店へ、そしてエンドユーザーへ商品をお届けしています。我々傳來工房の『ディーズガーデン』は卸商社を一切省いて、エクステリア専門店様に販売しています。この我々と直接契約させていただいている専門店様を「正規特約店/ディーズガーデンクラブ」と呼称しています。いわば、B to B to Cのビジネスモデルになります。
――正規特約店様にはどのような特徴があるのでしょうか。
壇氏:まず、全国規模であるという点です。北海道から鹿児島まで、全国320社、およそ400店舗と契約しています。エクステリア専門店様は日本に5~6,000店舗ほどあるのですが、その中でも私たちの商品への想いを共有できる、かつデザイン力や施工力をお持ちの地域一番店さんとだけお取り引きをするという形でこれまで開拓してきました。
――なぜ販路を絞っているのでしょうか。
木村氏:『ディーズガーデン』というブランドを構築するためです。そもそもエクステリア業界はブランド戦略がない業界でしたので、大手の量産品も多く、小売店で大幅な値引きをされてしまうのも当たり前な世界なのです。それをして欲しくない、阻止してブランド価値を維持するために、販売戦略は慎重に進めました。
――これまで具体的にはどのように販売していったのでしょうか。
壇氏:直接営業が足を運んでいましたね。北海道出張で丸々5日間、東北で丸々5日間とエリアごとに日数を決めて出張していました。事業をスタートさせたころはインターネットもなかったので、イエローページと地図を見ながら一店舗一店舗探していたと聞いています。
URLで簡単に接続できることが魅力
――販売戦略における課題について教えてください。
木村氏:特約店の皆様と、どのような形でももっとお会いしたい、もっとお話したいという想いがありました。弊社に集約される、日本全国の成功例や失敗例といった有益な情報を少しでも共有したかったのですが、そのために京都まできていただくにも、またこちらが全国に足を運ぶには大きなコストと時間がかかります。特約店様は地域の一番店であるため、特約店様同士の距離も必然的に遠くなってしまい、頑張っても1日4、5件しか訪問できません。
そこでオンラインで特約店様と会話ができる仕組みを検討し始めました。
――インターネットを活用した施策に至ったきっかけについて教えてください。
木村氏:会社全体でのIT化を進めていくことになったことが大きなきっかけです。請求書や勤怠管理、入金確認など、他の業務でも現在IT化を進めています。その中で営業でもIT化を進めようと考えたのが、やはり営業の数がこれ以上増やすことはできないと感じたからです。どれだけ営業の人間が頑張っても、今の倍の数は営業できません。
――「meet in」の他にもオンライン会議のツールで比較検討されたと思いますが、そこでの決め手はどこだったのでしょうか。
木村氏:もちろん比較検討は行いましたし、他社サービスからの営業もありました。その際に決め手になったのはまず「回線」の問題です。他社だと電話回線を使う場合があると思うのですが、そうするとお客様は電話で話さなくてはいけなかったり、設備が整っていなかったりという場合もあります。また電話代もかかります。
その点、「meet in」の一番の良さはインターネットが繋がっていればURLで簡単に入れること。基本的にダウンロードは不要なので、特約店様の手間を煩わせることがありません。お客様によってはインターネットに慣れてない方もいらっしゃいますので、その簡単さは非常に魅力的です。また共有画面で資料を表示できるのも有難い機能です。他にも録音・録画機能、チャットも便利ですね。
営業のポイント制度やカメラの配布で「meet in」導入を促進
――「meet in」の導入でどのように業務は変化したのでしょうか。
壇氏:訪問順を考えず、新しい商品の発売開始のタイミングなど必要なときにいつでもお客様と会話できるようになりました。
また大きな変化があったのは教育の部分。これまで、新入社員も営業に同行することにより現場で学んでいたのですが、その分出張費も倍になり、コストもかかっていました。「meet in」であれば横で見ているだけである程度理解できますし、「meet in」で録画したものを社員に見せて教育するということも可能です。
――「meet in」を活用する上での工夫について教えてください。
木村氏:営業にポイント制度を設けたことが工夫ですかね。例えば、特約店様1件に訪問すれば1ポイント、特約店様4人以上とお話ししたら2ポイント、そして月間70ポイントを目標としています。そこで、「meet in」を使って会話したら0.8ポイントとしており、訪問するよりも圧倒的に時間効率がよいので、自然と「meet in」を使うようになると思っています。
他の工夫として、特約店様の環境も整えたことです。直接、顔を合わせるように会話したかったため、社内で選んだベストなWebカメラを大量に購入し、必要な特約店様にお渡ししています。従来の移動コストを考えたら、決して高くはないと判断しました。そうした工夫もあり、特約店様もオンラインでの会議には納得していただいています。
特約店、社内、仕入先間のストレスを減らしていく
――今後の展望についてお聞かせください。
木村氏:まだまだ環境を整えている最中ですので、特約店様すべてでオンライン会議ができているわけではありません。全特約店舗数420店中、「meet in」接続済店舗は約200店舗です(2019年12月現在)。カメラのお渡しだけではなく、しっかりオンラインでお打ち合わせすることのメリットをお伝えし、納得していただけるよう引き続き活動していき、2020年10月末までには全店舗を接続していきたいです。
また、社内の環境も今整えているところです。いまオフィスの一部屋をショールーム化しており、オンラインでのお打ち合わせのときにすぐ新商品をお見せできるようにしています。訪問営業だとすべての資料を持って行けないので、実際に会うよりもやはり「meet in」によるお打ち合わせの方がお話の幅は広がることもあります。
また営業に留まらず、海外工場や仕入先様との打ち合わせ、採用活動にも「meet in」を活用しております。滋賀や大阪の業者さんが多く、往復で2時間はかかるので、その時間を他の仕事に充てられるのは嬉しいですね。まだまだこれからですが、関係者様各位にも広めていき、社内、特約店様、仕入先様間のストレスを「meet in」で少しでも減らしていきたいですね。
――ありがとうございました。
<取材・文・写真= 大木一真>
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